表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/592

3-5「めーわくなんですけどぉ〜」(2P)






「っていうか〜? キミ、けっこう爆笑するタイプなんだね。いがーい」



 はちみつ色の瞳をジトっとかたち()り、頬を膨らませ嫌味を放った。



 ミリアとしては、『態度でかくて表情動かないのに爆笑とか? へぇ〜〜するんだあ?』を力いっぱいを込めたつもりだったのだが、しかし。



 普段、貴族どもが放つ純度の高い嫌味を喰らっているエリックにとって、そんな嫌味などささやかな抵抗にもならず──逆に、薬と彼のほおを緩める結果となった。



 彼は言う。

 小さく目を見開き、笑いもそのままに。




「……え? いや、普段はこんなに笑わないよ。……こんなに笑ったの、いつぶりだろうな」

「不服です」


「────フ!……良いじゃないか。またやって欲しいんだけど? 『頑張ろうね、スフィー♡』って」

「お断りだっ!」



 裏声でおちょくるエリックに間髪入れず叫ぶ彼女。それを受け、エリックはまた『フ……!』と吹き出し笑い出してしまった。

 



 まあ、彼が笑うのも無理はない。

 エリックは、店の前を通るその直前まで『今日はどう話を持っていこうか、どのようにアプローチしようか』考えていたのだ。



 ミリアというターゲットに対して・どのような話題を振って・どんな返しが来て・どのように誘導するか。この前の印象・聞いた話・逆に、振り忘れた話題。



 名目上の『用件』は用意したが、それだけでは物足りない。”なにか、自然と”・”気を許すような話題はないか”とシミュレーションしながらここまで来た。


 ──のだが。






 小雨降りしきる中、覗き込んでみれば、やけに楽しそうな彼女の姿。


 扉を開けても気づかない。

 中に入っても気づかない。

 誰かいるのかと思ったがそうでもない。 

 不思議な様子を黙って観察し、声をかけたらあの悲鳴。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ