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9-2「二の刻 東の空 光りたり」(6)



「さっきのはなし。ガチで() 見に行かね? 光の根元に、お宝眠ってるってうわさあるんだよ」

「……だ~れがそんなこと……」



 コルトの口から蘇ってしまった話題に、ミリアは一気にダルさを押し出しため息をついた。



 適当なことを言うものである。

 あんなところにお宝が埋まっているわけがないのに、なぜ好き好んであんなところまで行こうとしているのか。



 光も『見に行かない』と言った。

 なのに、どうしてこうも──……




 すまし顔の下、(はあまったく)を転がすミリアだが、コルトは希望を捨てていない。


 ぼさぼさの金髪の奥・スカイブルーの瞳を輝かせると、工具を握る手に力をこめ、




「みんな言ってる。すっげぇ光だったって! あれはぜったい、お宝眠ってるって!」

「…………はあ………、

 …………………光ったのってさ」




 言いながら、ミリアはだるーっとカウンターの下に手を伸ばすと、大きな地図を引き出しそこに広げた。


 そして、背を丸め頬杖を突き、東の森を指さしながら、






「……この辺でしょ?

 なんも無いよ、行ったことあるでしょ?」

「おれ、ない。おれ、この辺から、でたことねーもん」


「……マジか~……」

「ん。」




 予想外の返答に、ミリアは再び苦笑いを宙に溶かした。

 

 コルトは現在16歳。

 背丈はいっぱしの成人男性よりあるから忘れてしまうが、そうだ。彼はまだ未成年だ。



 一応、領の条例で未成人のみ夜間出歩きは禁止されているし、親の監督責任にもなる。



 下手したら民政管理局にしょっぴかれてしまう。



 マジェラ出身のミリアからすれば『いや16歳の男の子だよ?? 過保護過ぎない? 街は全部俺の庭ぐらいじゃないの16歳??』と首を捻ってしまうのだが────



 ──考えてみれば納得なのだ。

 コルトは基本怠惰なやつだ。

 基本、そこまで意欲的に動かない。


 いつもだらだら、だるだる。

 『めんどくせえ』が口癖で、運動はできるし腕力もあるがやんちゃ坊主ではないのである。



(──それに、この辺ってここだけで生活できちゃうもんなあ……、商店街の中だし、それもそっかぁ)



 そう、このあたりの店事情や行動範囲などを予想して、”納得”を(くう)に描くミリアの傍で、コルトは”ぶうー”と不満げに頬を膨らませると、ジト目で述べる。


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