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9-1「……なあミリア。俺は、割と何でもできる方だったんだ」 (10P)



 ──ぷ。ふふふっ。

 そんな彼に、ミリアは思わず小さく笑った。

 どれだけハイスペックでも、エリックも人の子。

 基本何でもできるし、プライドが高い男だが──、そういう隙に、『親近感』。



  

 こういう姿を見たら、純粋に励ましたくなってくる。

 いじわる抜きに、応援したくなってくる。

 ムカつくはムカつくが流せてしまうのが──不思議。


 そう、口の端を緩めながら。ミリアはエリックにすすっと近づき”ぽん”と肩を叩くと、




「だから~相性あるんだって。わたしも炎検定全部落ちてるんだって。相性ってあるから。気にしない、気にしない」



 ゆるゆる・ぺしぺし。

 きにしない、きにしない~。


 ──しかし。



「…………」 

 石の上、カードを見つめる彼は不満そうだ。

 (腑に落ちない)と顔に書いてある。



「…………」

 心底不満そうだ。

 (こんなのあり得ない)と顔に書いてある。



「…………ッ」

 不満そうだ。

 (こんなことがあってたまるか)と顔に書いてある。



「ぬーん」

 どうしたもんやら。

(……本気で『できない(・・・・)のが()』なんだな、このひと……)



 頑なに悔しそうなその様子に、ミリアは顔面を引き延ばしながら鼻で息をついた。



 お屋敷勤め・盟主の付き人・本人も文武両道のエリートおにーさん。本人曰く『できなかったことのない男』。悔しいのも受けいれられないのも、なんとか突破したいのもわかるのだが──



 原因がわからない。



(──なら、一緒に考えるしかないよね。経験者として、寄り添う方向で)






 埒が明かないと判断し。

 ミリアはエリックにぐっと身を寄せると、若干驚いた瞳を横目に腕を組むと、



「……形にはできる……でも、すぐ落ちてきちゃう……と」

「えーと、ああ。持つことができればいいんだがな、」

「そしたら形崩れちゃうし、っていうか危ないよ? 特に風と炎」


「……だよな。最悪飛散し消滅するだろ?」

「……そう。かたち保てないとしゅぱってする……」


「……うーん……」

「……ん~~~……」



 オリオン平原の石の上、ふたりは顔を突き合わせて一緒に唸った。


 何とかしてこの状況を打開したい。

 エリックの『教科書通りのやり方』で駄目なら、発想の転換が必要だ。



 自然と目が行くのは青い空。

 ふんわりとしたそよ風がオリオン平原を吹き抜けていく。

 なんとなく手が額を押さえて、前髪の上から──



 ぽん、ぽん、ぽん……

 ぽけ────……



(そもそも魔法って、基礎構築式はあるけど術者のやりやすいようにオーダーメイドするものであって……持つこともできるのかな……? 理屈ではできそう……)



 ぽけ──……

 ちゅんちゅん。



(おにーさんの場合、『ふわふわ飛ばしたい』というより『使いたいんだ』と。つまり~~~『持つ』かなんとかして、対象物に当たればおっけー……?)

「あ、じゃあさ」



 ピンと閃き顔を向けた。

 そしてそのまま、彼女は言うのだ。



「包んで叩くとか」

「…………はっ?」


「包んで殴るとか?」

「え? なに言ってるんだ?」


 

 ナイスなアイディアに返ってきたのは、エリックの訝し気な顔。

 どうにも理解が追い付いていない様子の相棒に、ミリアは綺麗に人差し指を立てると、




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