8-12(8章完)「……幸せお兄さんかもしれない……」(3P)
「俺は未だ遭遇していないが、情報によると、チェシャー通りを中心に良く現れるらしい」
「どこの情報っすかそれ……、なんなんですか、そいつら……。幸せについて聞いてくるってなんなんですか……」
「信憑性のある話だ。奴らは現存している」
「……はっきりと仰るんですね……? まあ、閣下がそう仰るのならそうなんでしょうけど……」
ヘンリーの釈然としない声。
まあ、こちらの言うことがふわふわしているのは理解している。
しかし、この感覚はどちらの情報も聞いた自分でないと解らないだろう。
オースティンが言っていたらしい『アルトヴィンガの”気味の悪い連中』と、ミリアの『幸せですか? って聞いてくる人たち』『なんか、アンケート? 満足度調査って言ってたけど』という証言。
これらが仮に、『同一集団の行いだとしたら』────?
「……なあヘンリー。これは、アルトヴィンガの異変に結びついてはいないだろうか?」
※
「……なあヘンリー。これは、アルトヴィンガの異変に結びついてはいないだろうか?」
「どういうことです?」
長孝の末。
出た問いかけに返ってきたのは、次を促すような問いだった。




