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8-12(8章完)「……幸せお兄さんかもしれない……」(1P)








「──で、です。オースティンの話から察するに、原因は配布物の連中がひとつかなぁ~と思っちゃいるんですが…………どうも結びつかないっつーか、ピンとこないっつーか。そもそも『薄気味悪い連中』ってどんな奴らだよって感じで、」


「……[幸せお兄さん]……」

「────はいっ?」


「……幸せお兄さんかもしれない……」

「──は、はいっ??」












 ──それは、唐突のひらめきだった。



 ヘンリーの話を聞きながら浮かび上がったひとつの単語。

 『しあわせおにいさん』。



 『薄気味悪い連中』がどのような団体か、いまいち明確に想像できる団体がいないが、浮かんできたのはその単語だ。

 ミリアの言っていた『なんか配ってる人たち』『幸せですか? って聞いてくる人たち』が、それに値するのではないだろうか。



 ──しかし。

 自身のひらめきを吟味するエルヴィスの隣で、ヘンリーはというと、まったく追いつけないのである。


 『堅物盟主のエルヴィス』から飛び出した「しあわせおにいさん」という単語にまともにまごつき、引きつった顔でガリガリと耳の上を掻くと、動揺をそのまま口に出す。




「……え? ボク、今、耳おかしくなったみたいで。なんですか? 閣下。ちょっと聞き取れなかったみたいで」


「──『幸せお兄さん』か……?

 奴らは、幸せお兄さんなのか……?

 早計か?

 いや、……それなら説明もつくような……」


「ちょ、ちょっと待ってください?

 なんすか?

 もう一回いいっすか?」

「────『幸せお兄さん』だ。断定はできないが」



 クソ真面目に述べるエルヴィス。

 しかし。

 ヘンリーにはその度合いが伝わらなかった。



「ナンスかそのハッピーで馬鹿馬鹿しい呼び方は」

「 ヘ ン リ ー」

「──ハイッ!」


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