表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

560/592

8-9「本業なのは解っちゃいるが、出たくないったら出たくない。会議なんて億劫だ」(8P)




「…………ボク、胸と尻が大きくて、顔は女神みたいで、奥ゆかしい子がいいです。あそこのお嬢さんはちょっと。胸と尻が足りな」

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


「こっ! 好みのタイプぐらいあるでしょう? 兄上はどうか知らんですが、ボクはほらぁ、次男ですし! 土地も爵位もないですし!? むしろハードモードですし! 好みの女性と結婚したいじゃないですか! どうせ人生一度きりなんですから夢見たっていいじゃないですか!」



「…………人生、一度きり…………か」



 言い訳のように早口で捲し立てるヘンリーに、一転。

 エルヴィスは目線を下に、ぼんやりと呟いていた。



 確かにそうだ。

 人生は一度きりだ。

 人は死後、御霊となって女神の元に戻るのだ。

 無感の存在に還るだけ。



(──そんな中で……人生の伴侶を自分で選びたいと思うのは特段おかしなことでもない……よな)

 ──「──閣下?」



 心の奥底。

 ほのかに芽生えた淡い欲。

 それは、彼の中で暖かく芽吹き、ほんの少しの痛みを残す。

 


(……盟主の家に生まれた以上、婚姻も人生も国のためだと思ってきた。……それは今も変わらないが、しかし……)


 ──「……閣下?」



 求めてもいいのではないか?



 ゆらり、ゆらりと揺れる中。

 記憶の中のミリアが云う。

 『ノースブルクは自由恋愛の国!』


 昔、意味深に述べたスネークが蘇る。

 『貴方は少々……人の醜態に晒されすぎたようですね』


 そしてヘンリーが叫ぶのだ。

 『好みの女性と結婚したいじゃないですか! どうせ人生一度きりなんですから!』



(──いや、やめておけ。求め手に入れることなど許されない。咎人(とがびと)が何を言う。そもそも父上や母上が生きていらしたら、俺は、とうに縁談を組まれ身を固めていただろうし)



「──閣下!」

「……! なんだ、どうした」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ