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8-8「持ち込み制だよねどうする!!?」(8P)
「ん~、コンテストがね、あるんだよね。その顔合わせがあるから、ちょっと同席できないかなぁって。仕事忙しくなるし、たぶんいろいろ頼むと思うから、そこから居た方がいいと思って」
「……何日?」
「えっと──」
ミリアの口から出た日程を聞いて、エリックはまともに表情を曇らせた。
ああ、なんということだろう。
その日はノースブルク諸侯同盟領・領主会議がある。
ビスティーの業務と天秤にかけるまでもない重要案件だが、できることなら行きたくない案件第一位もあった。
「………………すまない。その日は少し用事がある。……外せないな」
「……その顔だと、あんまし乗り気な用事じゃなさそう」
「…………わかる? 当たり。……正直、行きたくない」
「うゎぁ──……、なんか、えーと……」
先ほどまでの穏やかをうんざりに変えて。
まともに気を落とす彼に、ミリアは引き気味に呟くと、一瞬。
言葉を探す様に視線を迷わせ、こくりと頷き──ひとつ。
「頑張れ、”付き人”」
「……気持ちだけ受け取っておくよ」
ぽん、と背中を叩き同情するミリアに、エリックは軽口で返したのであった。




