8-8「持ち込み制だよねどうする!!?」(6P)
「はいはい。キミの、旦那様に対する忠誠心と憧れは良〰〰〰〰くワカリマシタ。あと、猫の鳴きマネはしません。笑うのわかってるし。ふんっ」
「……そう怒るなよ、ほら、鶏食べる?」
「食べる」
「食べるんだ?」
「おいしい。鶏はさいこう。とりがあれば世界はへいわ」
不機嫌を秒で翻して、ミリーは出された若鶏のソテー・ココテリア風を頬張り舌鼓を打った。
単純な女である。
実は結構へそ曲がりモードだったが、今はもう緩みまくりのもぐもぐタイムだ。給料日前、串焼き程度で腹が満ちるわけもなく、余計動き出した胃が喜んでいる。
ひょいぱく、ひょいぱく、もぐもぐごっくん。
──はぁ──うま──……やば──……
鼻の奥に抜けていくココテリア地方独特の風味が溜まらない。
カリカリと音を立てる皮。
ぶるるんとした脂。
いつもの歯ごたえ、ごくんと消えた。
ひと口ふたくち、もぐもぐ、うまうま。
頬の奥まで味わいながら、さらにもうひと口行こうとしたとき。綺麗になった皿半分と、正面のエリックに気が付き彼女は素早く顔を上げる!
「──はっ!? ごめん、止まんなかった! おにーさんのなのに!」
「いや、いいよ。思ったより多くて食べきれそうもなくてさ。手伝ってくれる?」
「そーいうことなら任せ……、……?
なんか、すっごい穏やかな顔してこっち見てるけど、なに……?」
「うん? ……フフ、いや? あー……、そんな顔してた?」
「してた。」
迷い無き眼でしっかり頷くと、エリックは愉快そうにもう一度、くすくすと笑った。その瞳がどうも──猫にでも餌をあげている家主のようで。
ミリアはこっそり(……餌付けされている……? わたし、今軽く流されたような……?)とフォークを止めて考えるが──……




