8-8「持ち込み制だよねどうする!!?」(2P)
(とてもじゃないけど富裕層の集まりにそれは持って行けない……ッ!)
「ミリア?」
「あっ、あれだっけ? 物品持ち込めない人は参加料払うんだっけ? 前にどっかで聞いたことあるような、あ、ぇ? でもその場合参加料どうするの、経費で落ちる? っていうかいくら? っていうか参加するだけでもウン万メイルとられるのでは!」
「…………うん? そんな心配してるのか?」
「あたりまえじゃんっ!」
「──……なんだ。そんなことか。心配要らない。俺が用意する」
「おにーさんが!?」
がったんどったん!
勢いそのまま立ち上がっていた。
瞬時に廻る(いや~~~まってそんなお金ないでしょおにーさん!?)。
彼女はまだ勘違いしている。
『エリック・マーティンは金がない青年だ』と。
そんな勘違いをもとに、ミリアがその表情に(毛皮、おっきなものになるとどんだけするか知ってる!? おにーさんのお給料二年分ぐらいすっ飛ぶよ!?)を込めまくりで見つめる中。
愕然の間を縫って、次々と運ばれてくる料理を眼下に、エリックは余裕たっぷりでほほ笑むと、
「ああ。旦那様に言えば毛皮のひとつやふたつ、貸して下さるだろう」
「──────……ま。まじで?」
「問題ない」
「……わぁ……、ふとっぱら……」
「──フ! 伊達に三代、盟主の座に居ないさ」
零れ落ちた愕然と呆然の音に、エリックから返ってきたのは自信に満ちた苦笑だった。




