8-8「持ち込み制だよねどうする!!?」
よくよく考えればそうである。
シャトワールの母がどの枠で招待されているのかわからないが、品評会は『品を見せあう場』。『褒めたたえる場』だ。招待客枠もあるだろうが、物品の持参が最低条件になっているところが多い。
ミリアは今の今まで『よかったー♡ 一個前進、わっほーい!』程度に考えていたが……参加するからには、現物が必要である。
それに気が付いたミリア・リリ・マキシマムは今。
顔面蒼白であった。
「けがっ、けがわっ、毛皮! どどどどどどど、どうやって用意する……!?」
「ミリア? どうした?」
「どーしたもこーしたもっ!」
キョトンと聞くエリックに勢いよく距離を詰める!
テーブルがガタンと音を立て揺れる中、彼女は声を潜め早口で、
「品評会ってことは、だよ? こっちも何か持って行かなきゃいけないじゃない? わたしもビスティーも、そんな毛皮なんて用意できないよ……!?
あ、今在庫あったかな、いや、無かった気がする。
そもそも今年は毛皮のラインはあんまり揃えないってオーナーが言ってた気がする……!」
言いながら瞬足で思い出すビスティーの在庫。
ビスティーはもともとドレスショップだ。
スタイルアップもドレスや普通の衣装メイン。毛皮類は小さなアクセサリーや帽子ぐらいしかない。




