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8-7「おにーさん、わたし旦那さまのことを聞いている」(3P)



(お仕えしてる旦那さまと趣味同じとか、ノリノリで返して、旦那さまトークになってもおかしくないと思うんだけど……あれ……?)



 自分だったら、ここはいい気になって話を続けてしまうところだ。

 実際、オーナーとはドレスや衣装の話で話題が尽きないし、それを周りに『気が合うね』なんて言われた日には全力で喜んでしまうのに。




(……おにーさん、変わってる。

 まあ、男同士で、相手がご主人様だから、失礼に値するとか考えてるのかも……?)



 ──と推測するミリアだが、実際は──


 『先ほど気を引き締めたばかりなのに、舌の根も乾かぬうちにエリック(・・・・)を忘れエルヴィス(・・・・・)で答えた自分が、どうしようもなく泥沼なことに気が付いてパニックになっている』のであるが、そんなものをミリアが知るわけが(以下略



 そんな、渦中の真っただ中に居ながらもどこまでも蚊帳の外状態のミリアは、知らぬ立場から次の話題を繰り出すのである。





「……ってことは、魔具の闇市もあるの?」

「…………闇市って言うな。品評会(・・・)だ」

(──あ。ぎこちないモード終わった? ちょっと呆れてる感じ?)



 連鎖的。

 振った話題に返ってきたのは、いつもの『窘め厳格モード』のエリック。


 その、呆れと怪訝を含んだ彼はいつもの彼(・・・・・)であり、ミリアはこのまま突き進むことにした。





「やー。魔具こそ闇市っぽいな~と思って」

「……まあ、確かにな。その印象は間違ってないよ」


「でしょー? 闇市だよ、闇市。

 そもそも『セレブのこそこそ品評会(ドミニオン)』なんて、闇市と変わりないっていうか、闇市以上に怪しいっていうか」

「──あのなあ。それ、俺以外の前で口にするなよ? 『貴族を侮辱している』と牢屋送りになってもおかしくないんだからな?」


「あらぁ……、うーん……。おにーさん、信じてる♡」


 にっこりきゃるるん♡

 ──ん゛! んん゛!

 ゴホッ! ごほごほッ、んんん゛!


「…………や、あのぉ~……そんな難しー顔で咳き込むこと言ってない……」



 突如。

 いきなり盛大に咽こみ、腕で口元を覆い苦しむ彼にぼーぜんと呟くミリー。


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