3-2「三年ぶり二度目の結婚生活がスタート」(4P)
「──────っ絶対戻らん! 戻らないからなっ!」
きゃるん顔を瞬時に抹消し、完全にふてくされた顔つきで言い放った。
──完璧にご立腹である。
ミリアは眉を跳ね上げたまま、父愛用の羊皮紙を一回二回。
三回 四回 五回、爪でしっかりと折り目をつけ、
親指と人差し指でぎゅうぎゅうと潰しながら小さくし、
ぽーいっ! と転がし視界から抹消した。
完璧な処置だ。
──『彼女の気持ちを最優先する』という点では。
ミリアの父はいつもこうだ。
遠回しのようで直球に、彼女に『結婚の圧』をかけてくる。
この前の手紙は『子供って可愛いよな』という文面がおよそ3枚に渡って綴られており、その前は『お前を授かったときの話を聞いてくれ』と便箋4枚分の手紙を寄越してきた。
ソレを読む、ミリアの気持ち。
はっきり言っていい迷惑だ。
ミリアが嫌がるのも無理はない。
(イライラするわ、はぁあああああっ……!)
…………カツカツカツカツカツカツカツッ…………!
送られてきた手紙が生み出したイライラを、消化することができず。
彼女はカウンターを指でカツカツと鳴らしながら、喧嘩両成敗された子供の様に宙を睨みつけ、
────はぁ────っ…………
そして次の瞬間、大きな大きなため息をついた。
肺の中の息を吐き切るほどの。
両手で頬杖。
当然のごとく、眉間には皺がよる。
物憂げに眺めるのは、外の空模様。
どんよりとしていて、この時間にしては暗く、
まさに、今のミリアの気持ちを映し出しているようだった。
「…………はーぁ〜……」
物憂げに、彼女は項垂れる。
まあ、ミリアとて、親の気持ちがわからないではないのだ。




