8-4「本家は爪を隠すもの」(4P)
「──ボスから言伝を頂いていてね。
お前の仕事の出来次第では、特別任務に就いてもらうよう指示されていたんだ」
「──え? ぼ、ぼすが、オレサマに、特別任務を……!?」
「────ああ、そうだ。お前の仕事っぷりは素晴らしかった。
くだらない盗みなど他の者に任せ、お前には組織の未来を担う仕事に就いてもらう」
「……ほ、ほんとに……!?」
(──お前、大丈夫か? ミリアでももう少し疑うぞ)
あっさり信じたジャイルに心の中で突っ込む。
瞬時、脳内で『どーいう意味かな』とむくれ顔のミリアも出てくるが、それはさておき。
(……顔を見たこともない相手の言うこと簡単にを信じる馬鹿がどこにいるんだ。ああ、ここにいるのか。どの組織に属しているかは知らないが、基礎からやり直した方がいいんじゃないのか)
と、怪訝を転がしまくるが、彼には密かに考えがあった。
思惑を胸に、エリックは余裕の笑みを湛えつつ、ベストの内ポケットから革の小物入れを取り出すと、差し出し口を開く。
「──中の物は褒賞だ。別々の街で換金しろ。当面の活動費として使えとのことだ」
「──ああ!? んなちっこい小物入れが褒賞って、舐めてンの──かっ……!?」
瞬間。
怒り出したジャイルの表情が固まり驚愕に染まった。
エリックの手のひらの上。
差し出した革の小物入れは、確かに『褒賞品』のようには見えないが──
その刻印。
革の質。
間違いなく本物の証が刻まれたそれに、ジャイルが目を白黒させる中。エリックは、お宝の品定めをするように革の小物入れに指を入れると、




