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3-2「三年ぶり二度目の結婚生活がスタート」(2P)
指の先、ぷらんぷらんする手紙相手に、すぅっと目を細め、首を引いて呟く彼女はわかっていた。
父がしつこいタイプだと。
返事をしないと追撃が来るし、開かなければそれはそれで追撃がくる。
必ず送られてくる追撃の手紙内容を思い浮かべ──……
ミリアは、淡い色の封筒を凝視し、じぃっと念力を送ること、数秒。
(──────まあまあ、仕方ない。
読んであげますよ、オトウサマ?
ミリアは優しいですから。
ちゃんと読んであげましょう、うんうん。)
紙から放たれる圧に観念して
彼女は自分を肯定しつつ、封を開けることにした。
ほんの少しばかり我慢すれば、一瞬で済むことだと、腹をくくって。
彼女の少し硬い指先が、柔らかく引き上げたのは、父がよく使っている羊皮紙。
すこしざらついた紙。
鼻をくすぐる、遠く、懐かしい実家の匂い。
ほんの少し柔らかくなる心。
開かれた手紙から、小さな光がふわりと浮き、虚空へ消えていく。
そんな光を追いかけた目をそのまま
手紙に目を落とし────




