表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

486/592

8-1「人身御供の報酬は」(2P)





 虚ろな瞳の自分にミリアが言う。



 『……腰ほっそ……! なにこれ、えっ? ほそっ……!』



 ──その「羨望と驚愕を込めた言葉」は、瞬時にエリックをイラつかせた。



 体系について言及するのはマナー違反──という文化はないし、ミリアに悪気がないのもわかっている。しかし。


 男としては言われたくない。

 そんな気持ちを知る由もなく、ミリアは


 


 『いいなあ~~、腰回り、ほそーい……。いいなあ~、スタイルいい~……むかつく~、うわあ、ショック……、骨格と肉付きの違いがあるのわかるけど、でもそれでも羨ましい、いぃなぁあああああ……!!』


 『それ。止めてくれないか? 君に言われたくない。不快になるんだけど?』

 『えっ? なんで? いいじゃん細いの!』


 『よくない。「細い」って。つまり頼りなく(・・・・)見える(・・・)ってことだろ。そんなことを言われて男が喜ぶと思うか?』

 『や、あの』


『俺は筋肉が付きにくいんだ、その分他人(ヒト)より鍛錬してる。……くそ!』



 

 母親譲りの華奢な体型。

 鍛錬してもつかない筋肉。

 どうにもならないコンプレックスが、ミリアの前で愚痴と悪態という形で滑り出す。



 彼の容姿は、スパイ・貴公子としてなら相手に大きな力を発揮するが、盟主として振舞う時は逆効果だ。鍛えてもなかなか大きくならぬ筋肉も、細めの骨格も舐められる一因となる。


 戦時中ならそれをうまく利用し、だまし討ちに使えないこともないが、今は泰平の世。盟主の座を狙う古だぬきどもに揶揄われるタネでしかない。



 彼を囲む古だぬきどもは言う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ