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「────なあ、聞いて」






「相当愛していたのでしょうねぇ。彼は彼女を失ってしまうと思ったのだとか。それが功を奏して、メンティラは宝珠の中から意識を取り戻し、完全な宝石となる前にヒトの姿に戻れたそうですよ」

「…………」


「その話題は、罹患者の間で瞬く間に広がりました。皆、家族を・友人を取り戻したい一心で語り掛け続けたそうですが……時間が経ち過ぎていたのでしょう。他のモノが元に戻ることは無かったそうですよ」

「――――スネーク……、俺で遊んでいるだろう」




 話を聞ききったエリックから出たのは、心底呆れた音だった。


 スネークのそれは、おとぎ話としてはよくできている。まるで女児に向けた幻想記のようだが、それをここで大真面目に話すこいつが理解できない。

 しかし、スネークは憂いを帯びた表情で首を振るのだ。




「人聞きの悪い……、ミリアさんと接触できず、困っているのは私も同じです」




 はぁ……と大げさに息を吐くヤツ。

 俯き、嘆かわしいと言わんばかりに眉を下げ、口元を押さえ、悲壮感を出しながら、一拍。

 切り替えたようにくるりと(きびす)を返すと、奴は静かに首を振った。





「――まあ、たとえ、ボスが私の言葉を信じず、彼女が元に戻れなかったとしても……。私は(・・)恨みませんので、ご安心ください。しかしながら、可哀想に…………」




 

 エリックが、ただ、嫌疑と不快を込めて見つめる中。

 スネークはその糸目で意味深に宝石を見つめ、哀れを醸し出すと、




「ミリアさんはこの先、その宝珠の中で、永遠の時を過ごされるのでしょうねぇ……」

















 宝石化症候群ジェム・ノ・シンドローム

 





続きはキンの$。

次から本編に戻ります。








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