7-22 「キミの気持ち」(1P)
彼の口から滑り出したのは、遠慮がちで恥じらいを含んだ──しかし、意を決した音だった。
「……ミリア、君に聞いてほしいことがあるんだけど。
…………聞いてくれる?」
「うん、聞く」
ノースブルク諸侯同盟・オリオン領西の端。
女神のクローゼット・ウエストエッジのとあるアパートメント。
9月のやや柔らかな日差しが、室内に差し込む中。
”ぐっ”と間を持たせた問いかけに、ミリアは二つ返事で頷いていた。
テーブルを挟んで向かい合う彼は、真剣な面持ちながらもすっきりとしていて、まるでなにか、憑き物が落ちたような顔をしているように思えた。
そんな彼の言葉を待つミリアに、エリックは語る。
「……俺は昔から、人に考えを読まれるのが嫌いだった。
今もあまり好きではないし、読ませないよう努めてきた。
それが、取りになると考えていたからだ」
「……うん」
「その立場は今も変わらないし、今後も変わることはないだろう。──けれど、それらを秘匿にすることで相棒の君が困るようなら話にならない」
「……ん」、真剣と険しさも交えながら述べる彼に、小さく喉が鳴る。
「……『君をパートナーに選んだのは俺だから』。
それ相応の責任があると考え動いていたが、俺はその『責任』をはき違えて捉えていたのだと、気づかされた。
……君の、勇気……いや、『脅迫』のおかげだ」
責任を乗せた口調から、一変。
その声色を鮮やかに、反省と笑いに混ぜて述べる彼に小さく笑いかえしていた。
『脅迫』という単語に若干申し訳なさも出るが、しかしそれらは、彼の穏やかな笑みに消されていく。
「怖がりながらも伝えてくれただろう? ならば俺も、話しておくべきだと……聞いてほしいと思ったんだ」
(……『聞いてほしい』……)
信頼を向けられる嬉しさに、ちらりと視線を流すミリアの前、彼は続ける。




