USO,虐げられた魔法使いの王女さまは、北国の王子様に溺愛されるようです!?(1P)
わたし、魔法大国『マジェルンマジェラン』のミリア。
第二王女として生を受けました。
王族ってイコール優雅な暮らしをしてると思うでしょ?
ところがどっこい、…………あ、えーと、『ところがどっこい』……じゃなくて、えーと、……こほんっ。
『王族とは優雅な暮らしをしているとお考えでしょうが、実はそうでもないのです。一様に裕福というわけではございません』……これで良いでしょうか?
うーんだめ、性にあわない。
そういうのはお姉さまと妹がやってるんだからいいよね。
王族にふさわしい言葉遣いや教養はあの二人が享受しているし、わたしは……できないことはないけど、ほら。民の見本だからさ。
で。
そう。
話に出てきた『民の見本』はね?
王族の中で選ばれた一人が『民を映したような生活をする』のが掟なの!
んふふふふ! 選ばれしエリート!
エリートのみが、『王女たるもの民の見本』の人生を歩めるってことで……!
わたしはこうして『民の見本』を日々こなしておりますッ(ぴーす♡)
お炊事・お掃除・お洗濯。
裁縫・煤落としに油落とし。
ふふふん、お食事だってほーらみて!
お姉さまも妹君も美味しそう♡
わたしはそれを、すみっこで残ったやつ食べてるんだけど、これが民の見本。
うんうんっ。
民に扮することのできる幸せ……!
わたし、is TAMI NO 象徴……!(きらきらりん……!)
……なんかちょっと、ちょこっとだけ、こう、『わたしだけ恰好汚いなあ』とか思うことも無くもないけど。作ったご飯床にばらまくことないじゃん、って思うこともあるけど。『顔が汚い』って床を拭いた布で拭くことないとも思うけど。
大きな声で馬鹿にしたり、姉とか妹とか立場で殴ることもないじゃんって思うし、風邪ひいた時ぐらい床じゃなくて、せめて干し草だけでも欲しいなあとか、こっちに意見聞いておいて全否定するとか、大量の仕事押し付けて終わってないと怒鳴り散らすとか。
…………………………………………………………そこまですることないじゃーーーーーーーん???
って思うけど、これが民の暮らし何だって言うから、まあ……えりーとわたしは? えりーとなので?? 毎日おーぞくやっております。はい。
そんなわたしの心のささえ♡
ボトルサウスの第一王子・ピスケスさま♡
とても素敵なお方で、わたしをお嫁に迎えてくださるとおっしゃっているの。
ずっとずっと昔から、彼に嫁ぐことは決まっていて……
ずっと昔から、彼にふさわしい女性になれるよう、努力に励んでまいりました。
──のに。
『ミリア! そなたとの婚約を破棄する! 私は第一王女ユリアを妻として迎え入れる!』
……って、ぶとうかいで言われてがく然……
え……?
わたし、用無しって言われた?
お姉さま笑ってる。
ねえ、わたしの婚約者、奪って楽しいの? おねえさま……
──と、流石に言葉もないわたしに、突如現れた一人の男性。
彼はわたしの肩を抱いて言いました。




