7-21「信用してない」(4P)
「真面目だよね。責任感もある。
仕事もぱぱっとやっちゃうし、覚えるのも得意でしょ? だから多分、人に任せるより自分でやりたい人だよね? そういう責任感は好きだよ。いいと思う。
────でも、リーダーなんでしょ?」
その瞳は、問いかけながらも憂いと理解を帯びており、ミリアの本心であることがよくわかった。
彼女は続ける。
「──仕事、任せるの不安なの、わかるよ。
ウチもたまにね?
服飾組合の新人研修で、別店舗の新人さんが来ることがあるんだけど、やっぱり仕事任せたりお願いするのって気を遣うし、困るよね」
考えながら述べる彼女は、次にひょいっと肩をすくめると、困ったように眉を下げ、
「相手の力量もわからないし──、意思疎通難しいし。
『自分でやったほうが早い』っていうのも、わかる。
すごいわかる。
っていうか実際自分でやった方が早い。
トラブルもないし、あっても自分の責任で、誰かを巻き込むこともない。楽。 『そっちの方が、全然』。
『でも、それじゃ人が育たない』。
……わたしも、前、オーナーに言われた。怒られた」
「…………」
突如下がったトーンと目線に、エリックも黙った。
彼女の表情には、その時の後ろめたさと気まずさが有り有りと滲み出ていて、まるでそこから、穏やかなオーナーの静かな怒りが重なり見えたような気さえして────、息を詰めた。
似たような事象に、覚えがある。
提案を断ったこと。
力を貸すと言ってくれたのに反故にしたこと。
相手の、逃がすようなため息。
今までの数々が重なり蘇る。
誰にも言われることのなかった言葉が
ミリアを通して降り注ぐ
「『任せることは、信頼と自信に繋がるの』
『貴方の都合で相手の気持ちを折ってはいけない』
『作り重ねなさい、信頼はそうしてできていく』……って。
あの時のオーナー、怖かった。
今でも思い出すと冷や汗かく。
でも、『そうだな〜』って反省したんだ。
あの子の『やりたい』気持ちを折っちゃってたんだって、へこんだ」
「…………」
実体験を踏まえての反省を述べる彼女は、特に説教を垂れているわけではないが────効いていた。
語る『あの子』に、ヘンリーの寂しそうな・悲しそうな顔が重なり、胸が痛む。
責任と無責任の間で揺れ動くエリックの前、ミリアは空気を変えるように。
”すぅっ”と短く息を吸い込むと、
今度は背筋を伸ばして姿勢を正し、




