7-19「ノースブルクの朝食から」(4P)
「…………味、へいき?」
「ああ、美味いよ。シンプルだ」
「そか、ならよかった。あんまり人に作らないから、少し心配だったんだよね」
気を使っているわけでもなく、ごく普通に「美味い」と述べ、さらに手を付けるエリックに安堵の息を吐いた。
別に、自分の料理が食べられないほど不味いとは思っていないが、それでもやはり初めての人間に振舞う瞬間は緊張するものである。
普段エリックが食べているものから彼の好みの傾向はなんとなく予測できるが、自分の料理が口に合うかどうかはわからない。
(シンプルなのにして良かった)。
目の前で次々に口に運ぶさまを観察しつつ、胸の内で呟いたミリアは、次に。
ニンジンの姿がまるでないキャベツと鶏肉だけのスープを眼下に話題を振った。
「昨日、夕飯で食べるかな〜と思って作っといたんだけど、起きなかったからさ〜。ちょっと濃くなっちゃった」
「……そう? 気にならないよ」
「ニンジンはサービスです。たくさん食べてね」
「──うん? ああ、まあ。ありがとう?」
さりげない押し付けをサービスと称して、エリックから飛んできそうな「ニンジンは?」攻撃を防ぐ彼女。
────ミリア・リリ・マキシマム。
ニンジンが大嫌いな24歳独身女性は、たとえ自分が作ったものでも、ニンジンだけは極力口に入れたくないのだ。
(ニンジンは敵。ニンジンは無理)という思いを、しれっとした笑みに隠す自分の正面で、特製ニンジン(処分に困っていたとも言う)をパクパクと口に運ぶエリックに、ミリアは、したり顔のガッツポーズとると、思いついた話を投げる。
「…………っていうか。この国の『ありがとう』のポーズって、そこから来てるんだね」
「?」
何気ない話題に返ってきたのはエリックの不思議そうな顔。
『なにが?』と言わんばかりの顔つきに、ミリアはスプーンを置き両手を胸に当て模倣すると、




