7-18「こんなことを言ったら君は俺を軽蔑するかもしれないけれど。昨晩のことは、本当に記憶がなくて……、君にあんなことをしておいてどの口が言うんだという話だが、その、」(8P)
「ねてるとこ邪魔するの、ほんと罪深いと思うんだよね。
独占禁止法違反だよ? まじで。
ブランケット、引っ張ろうとしても巻き込んでるから動かないし、仕方ないから丸まって寝たけど、変な体勢で寝たから背中痛い」
「…………すまなかった…………」
「ほんとね。安眠妨害禁止法違反。でも」
いろいろと把握した様子で、がっくりと肩を落とすエリックに、そこで「ひといき」。ミリアは言葉を止めた後、手を振りながら言う。
「だいじょうぶ、おにーさん、なんもしてないよ。
ずっと寝てたから。死んだように寝てたから」
「…………──それも、すまなかった」
「だって体調不良は仕方ない。
痛みを負ったのは背中ぐらいだから気にしない。
でもまあ、その代わり────」
まともに反省する彼に、ひとつ。
ちゃっかりしている彼女が脳に描くのは、切らしていたパンの存在。
途端動き始める胃袋を感じながら、ミリアはそそくさとベッドから降り立つと、
「────宿代、クロワッサンがいいな♡
お腹空いてる? ご飯食べれそう?
朝ワッサンもベーグルも切らしちゃってるんだ、ペコ行こ、ペコ!」
「もちろんおにーさん持ちでね♡」と悪戯っぽく微笑んで。
エリックの苦笑と共に、外へと舞い出たのであった。




