7-18「こんなことを言ったら君は俺を軽蔑するかもしれないけれど。昨晩のことは、本当に記憶がなくて……、君にあんなことをしておいてどの口が言うんだという話だが、その、」(4P)
「ちがうちがう、してないしてない。
ないない、ないよ〜〜〜
ないですよ〜〜〜」
エリックの回答を聞ききって。
ミリアはベッドに座ったまま、ぶんぶんと首と手を振りまくった。
みなまで言わぬが「案の定」である。
公園でぶっ倒れたエリックは、想像力を働かせまくってしまったのだ。
経験こそないが、「聞いた話・見た話の情報から」ナニを・どうスルのかは知っているミリアは、その雰囲気顔つき全てに「あるわけないでしょそんなこと」を詰めまくった。
呆れというか。
なんというか。
男というか。
オトナというか。
(──〰〰もうっ。確かに状況的にそうかもしれないけど? 服着てるじゃん、もうっ)
と困った羞恥を散らすミリアの向こう側で、エリックはというと、心底安堵したようだ。
今の今までは、空気の薄い場所にいたかのような・結婚のあいさつにでも来たかのような顔つきだったが、今は。
気の抜けたように緩む顔・目線は下方に落ち、いかり肩がすとんと下がっている。
(……やっぱし、感情のわからない人じゃないなあ)とぽっそり呟くミリアのソレなどつゆ知らず、次の瞬間、彼は弾かれたように顔を上げ、心底わからないと言いたげに首をかしげると、
「じゃあ、あんなことって」
「…………? そんなこと言ったっけ?」




