7-17「アタるすべてが柔らかい……」(3P)
「────ミ……っ!?」
叫びかかったその声を、喉ぼとけの奥で押し潰した。
瞬間固まる。
すやすや寝息を立てるミリアに言葉がない。
いったい何がどうなってこうなったのか。どうしてこうなっているのか。恋人関係でもなく、情報を盗むためだけの女でもなく、相棒の彼女と、なぜ一夜を共にしたのか。
いや、それよりも「自分は手を出したのか」という不安が溢れかえって仕方ない。「行為に及ぶのに記憶もない」なんて失敗は今まで一度たりとも無かった。こんな失敗はありえない。嘘だろうと胸が叫ぶが、それでも脳は、ひとつずつ、現況を拾い始めていく。
(────まて、ミリアは服を着てるが、俺は何故脱いで、いや、上だけだ、下は履いている、ということは手を出したわけじゃな──、いや、言い切れない。というかいつ着替えた? それも記憶がない。状況から鑑みるに…………いや、待て。俺は彼女に手を出したのか?? そもそもだ! どうしてミリアが一緒に、まて、ちょっと待て)
──ベッドの上、口元を握り抑え、冷や汗を流しまくる彼の隣。
無防備に寝入った彼女が、ころんとこちら側に寝返りを打った。
途端視線が行く。
すり寄るようにこちらに転がる彼女の衣装に、息を呑む。
すやすやと寝入る彼女を包むのは、見えそうで見えない透け感のたまらない、清楚なミューズ・モスリンだ。
ふわふわと悪戯な素材は、女の体の魅力を引き立たせ、否応なしに理性の奥をくすぐり視線を奪い、男の間では「恋人に着てほしい肌着NO1」を誇っている。
そんな、白のヴェールの奥に透けて見える肌。
すらりと伸びる白い脚。
転がる彼女の腕に挟まれた胸のふくらみが、妙に、妙に存在感を放っていて──




