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7-16「恥ずかしミリアの床事情」(5P)




「だってこういうの難しくない? 聞いてほしい人もいれば、ほっといてほしい人もいて、下手に突っ込んだらこっちが火の玉になることもあるし、逆鱗に触れることだってあるじゃん」



 空間に向かって一人言う。

 誰にともなく話しかける。

 自分の不器用さをフォローするように話出す。



「わたし、そういうとこ(・・・・・・)、突っ込みたいわけじゃないもん。なんでも掘り返したいわけじゃない。人は誰にでも、不可侵領域ってのがあるの。でしょ? はあ~~~~難しい」



 まるで、そこにエリックが起きているかのような口調でしゃべりかけ、がっくりと肩を落とした。



 結局のところ、ここで独り言を述べていても何の進展もないのだ。

 『悲しいひとり芝居』。

 『手作り人形スフィーに語りかけているのと一緒』である。

(────これ以上考えても、無駄だなこりゃ……)



 現状にげんなりと息をつき、ミリアは抱えていた膝を下ろして前髪の生え際を掻いた。


 エリックは深く眠りについているし、今できることと言えば自分の腹を満たすことぐらいだろう。



「────ま、いーや。とりあえずお腹すいたっ。ご飯作ろ、ごはん。」




 そう結論付けて。

 すくっと立ち上がり、巡らせた瞳が捉えたのは今の時刻。

 ──そこから予測する(読む)『この先』と、ざっとした時間の逆算。



 気が付けば窓の外は薄い紅色だ。

 昼過ぎから、時間がまるでどこかに行ってしまったかのような感覚にさえ陥るが、現実は現実。




「おにーさんも起きたら食べるだろうし、適当になんかささっと作りましょ~」




 適当に語尾を伸ばしながらキッチンへ。

 隅に置かれた陶器製の保冷庫をガコンと開け、自前の冷却魔法が効いている中を漁りながら、またも流れ出る独り言。





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