表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

411/592

7-16「恥ずかしミリアの床事情」(2P)






 聞こえないのを承知で零していた。

 すぅすぅと寝息を立てている彼を通して、「今まで」が渦を巻く。




 

 「おにーさん、大丈夫?」と声をかければ「……大丈夫」と返す彼。

 「寝てる?」と聞けば「寝てるよ、ちゃーんと」。

 「疲れてる?」と聞けば「疲れてない」。

 誤魔化しているとか、鬱陶しがっているわけではなく、同じ調子でそう返ってくるのだ。

 

 そのフラグを回収するように、ヘンリーの声がする。『リーダーは無理しすぎなんですよ。現にこうして倒れちまって。まったく言わんこっちゃない。いつかやると思ってましたよ』




「────ほ〜〜〜らもう。

 言われてるじゃん、ばか。

 気づかなかったわたしも責任あるけどさあ、立って居られなくなるまで頑張ることないじゃん、ばか。」

 


 丸椅子の上、あげた膝を抱え込むように座って頬を膨らませる。

 「バカ」と言ったら彼は腹を立てるのだろうが、この場合は「ばか」以外に言葉がなかった。

 


「あのね? 『顔色おかしーなー?』ぐらいはわかっても、それ以上はわかんないんだからね、ばか! 言えばか! もう!」


 ──ビシッ!!!



「────起きたら説教返しだからね……!

 文句は言わせない……! 

 覚悟しやがれ……!」



 一度流れ出た文句の勢いに任せて、思いっきり言い切った。

 これだけ迷惑をかけられたのだ。

 ほんの少し説教をかましても、女神さまもマジェラの大魔導士さまも、特にお咎めしないだろう。 



 むしろ、彼にはいつも小言を言われているのである。それを楽しんでいる時もあるが、こうなったのなら100倍返しだ。



 そう意気込みながら、「ふんす!」と鼻息を荒く噴き出し──しかし、次に湧いて出たのは、憂いのような感情(きもち)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ