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7-15「ボクの自慢の盟主サマ」(9P)





「────っていうかアンタ、思ったよりまともそうだ。

 みたところ普通のお嬢さんっぽいけど……

 あ〜……、名前聞いてなかったな」

「…………ミリアです」


 

 完全に気を許した空気を放つヘンリーに、ミリアがゆっくりと応えた瞬間。


 ヘンリーの空気が”ぱぁ!”と花開き──




「へえ! 素敵なお名前ですね~!!

 ネム・ミリア様と同じだなんて!

 やあ、まさか女神様だとは!

 ──どうです? 今度食事でも♡ ミリア様♡」

「あはは、そのまま他のお嬢様さまのところへどうぞ♡」

(──ま た こ れ か ♡)



 あからさま(・・・・・)に名前で(・・・・)手のひら(・・・・)くるんした(・・・・・)ヘンリーに、殺意を込めた笑顔を返すミリア。



(さっきまでの『警戒やら懸念やらをひっくるめた「誰だか知りませんが認めませんよ」』感はどこにいったのカナー? ううん~~~?)

 


 接客スマイルの下、オーガがむくむくと沸き出して仕方ない。

 ミリアは、『名乗った瞬間ころりと態度を変える人間』が嫌いなのだ。




 この国に暮らして5年。

 それまでは警戒だったり品定めだったり、割と剣呑な視線を向け態度を取ってきたくせに、名乗った瞬間こうなったのは数知れない。

 



 それは男女ともに同じであり、

 『女神と同じ名前』というだけで


 幻想を持たれ、メガミサマを期待(・・)され、自分を受け入れてくれるものだと勝手に決めつけられ、距離感がおかしくなったように詰められる。それの、しんどいこと。



 初めのうちは、それでもミリアも頑張った。

 『この人も、悪気があってすることじゃないし』とか『必要としてくれてるんだし』とか、できる限り対応してきたのだが……




 奴らは決まって、期待に沿えない行動をした途端、『女神様はそんなことしない』・『女神と同じ名前なんだからそれらしくしてくれないとミリア様に失礼』『女神の名を持つくせに』『なんで受け入れてくれないんだ』などと言ってきやがるのである。



 ぶっちゃけ『しったこっちゃねえ』に尽きた。

 女神なんてもんを押し付けられて、いい迷惑だ。



 それ以来、彼女は『名乗った瞬間態度変えるヤツ』はその時点で「嫌い」判定していた。





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