7-15「ボクの自慢の盟主サマ」(5P)
こくんと首を傾げまなざしを送り、ゆるゆる攻撃を繰り返す。
「えーっと……エリックさんが『リーダー』ってことは、オニーサ……ヘンリーさんもオリオン盟主さんのお仕えの人ですか?」
「────あ〜……、はい。
エルヴィス様にお仕えしてます、ね。
彼はボクらの『リーダー』です」
「…………わかる〜、絶対下っ端じゃないですよね、この人。
そんな気がしてました〜」
少々間延びに変化したヘンリーの口調に乗っかるミリア。「必殺・同調しながらこっちの雰囲気に引っ張れの術」が決まった瞬間である。
(────正直おにーさんにはあんまり効かなかったけど……!
このオニーサンになら効く……!
結構釣られやすいと見たっ……!)
ふふうん、きらぁん……!
瞳の奥に確信を宿し、ミリアはさらに顔面の緊張感を皆無にすると。全身で『なっとくぅ~』放ちながらうんうん頷き、
「『できる』もんねぇ〜
そんなオーラばしばしっていうか。
なんでもスマート。ささっとやっちゃう〜凄い。」
「…………です、ね。
まあ、だからこそボクらはヤキモキするっていうか。
抱えすぎるんですよ、このお方は」
(…………んっ?)
流れるように同調し、『このまま自慢し始めるのをうんうん聞いてやる作戦』の途中。返ってきたため息に、ミリアは小さく目を丸めた。
『自慢ではなく、不満が返ってきた』。
(……あれ? てっきりリーダー自慢が始まると思ったんだけど……?)
意外な返答に、一瞬。
小さく瞳を泳がせるが、ミリアはそのまま、一言を投げる。
「────『仕事を』、ですか?」
「『なんでも』、ですね。見てればわかるでしょう?
アンタもそう感じるぐらい『できるお人』だ。
それはいいんですけど、自分だけで抱え込みすぎなんですよ。
ちっとはボクらを信用して欲しいもんだ」
「…………」
流れるように出てくる不満──、いや、悩まし気な色に、ミリアは黙っていた。




