表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

369/592

7-8「走って走って」(4P)





 ────スカっ。

(え?)




 

 スカった。

 目が、顔が、点になり硬直するが、手だけは確かめるように動く。




 

 すかっ。

 すかっ。

 ぽふぽふ!

 ぽんぽん!

「────、え!? ポシェットは!?」





 そこにあったはずのソレに素っ頓狂な声が飛ぶ。

 寝耳に水とはこのことである。

 一気に血の気が引いて、声も出さずに腰回りを叩くミリア。


 

(うそウソうそ嘘……っ!!)

 突き付けられた現実から掬いを求め縋るように、動く手のひらが辿り探すは『あったはずの肩紐ストラップ』。

 

 

 腰から胸の前、左の肩まで、『あったはずの紐』をエアーでなぞって────



「無い……! ない……!

 うそおおお、無くした……!?

 ──え、無くした……!?」




 聖地・クレセリッチの路地裏に、悲鳴交じりの声が零れ落ちた。


 一気に詰まる喉、冷えていく背中。

 慌てて周りの足元に目を向ける。

 高速で頭の中が巻き戻り、ポシェットの最終確認時を『探す』が、思い当たらない。



(あいつにストールぶつけた時はあった!

 でも、そのあと、どうしたっけ!?

 そのあと、……どうしたっけ!?)



 探す・探す・思い出す。

 ストールと魔法をぶつけた後のことは、ただ、自分の走りに合わせて目まぐるしく動く雑踏しか出てこない。腰でぽんぽん揺れていたような気もするが、いつ肩から外れたのかもわからない。





 ────記憶が、ない。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ