7-6 レッツ!カルミアフェスティバル(7P)
────串焼きがまだ残っているのだ。
肉がまだそこに待っているのである。
ここ、クレセリッチは原則食べ歩きが禁止だ。
祭りのあいだ中など、特にやってはならないタブーだ。
この肉を食べ終えるまで、ミリアは、ココから動けなかった。
(……んー、困った……なんだろう、この人……)
「なぁに? ヒメ☆」
「いや、えと、なんでもないですけど……」
と、顔を逸らし、頑張って鶏を頬張る。
先ほどまで美味しかった鶏のうまさが半減したように思えて、顔面偏差値を下げるミリアが思い出すのは──『二度目のエリック』だった。
あの時のエリックも、なれなれしく隣に腰かけてきた。
しかしあの時のエリックとの違いは『二度目』だということだ。
(……おにーさんといい勝負だな……
でも、おにーさんは、『ヒメ』とかあからさまな嘘言わなかったな……)
と、思い出しつつ鶏をごくり。
エリックもこの男と同様に、食事中に声をかけてきたが、彼はそれなりに距離を測っていたような気がする。
きっと、あの時点でオリオン盟主から命を受けていたのだろう。
無作為に距離は詰めてこなかったのも、今考えれば納得である。
──しかし。
(……もー……、
なんか、思い出せないけど……
とりあえずおにーさんのほうが自然だった……
いきなりヒメとか、ドン引きのレベル…………)
と、心の顔のパーツを引き延ばしつつ。
どっかりとそこに座り『うは、新成人、うは! ヒメぇ、見てみて!』と陽気に唇を細め、やけに機嫌が良さそうな男に、ミリアは
そと向きの表情は真面目に、仏頂面トーンで視線を送ると、




