7-6 レッツ!カルミアフェスティバル(6P)
(……お客さん…………?
……じゃない……よね……
こんな強烈なひと、忘れないもんな……)
と、こっそり眉間に皺。
戸惑い包まれるミリアに、構いもせず。
ぬっとりとした髪の男は
ニヤッ……と口元を上げ、
にゅら~っとスカイブルーの瞳を細めると、
「あぁ☆
違うって~、『おヒメ様のように綺麗な人だな』と思ったんだょ♡」
「……はあ…………」
「よくそう言われるだろぅ?」
「…………言われないですけど…………」
ぬっとり髪男に、ぼっそり答えた。
幸せ気分のところに水を刺されたのも不快だ。
しかしそれ以上に、ベンチの隣に座られたのが気味わるくて仕方ない。
(……なぜ笑われているのか……なんなのこの人……)
と、訝し気に”そろ~”っと退きながら、ちらりと目を配らせ、伺うのは『あたりの様子』。
ベンチに座って串焼きを食べている自分と
その隣に腰かけたぬっとり髪の男を
気にかける通行人など誰もいない。
(…………うーん…………。…………なぜわたしなのか。)
デジャヴュである。
若干状況は違っているが、エリックと出会った時の『ナンパ男』も、最初はニヤニヤしていた。
重なる記憶や状況に、表情を平たくしつつ呟いて、瞳をめぐらせ考える。
エリックに言わせれば『相手にするな』一択なのだろうが、こう絡んでこられたらどうすればいいというのだろう。
ミリアとて、本当ならば素早く立ち上がり雑踏に紛れたいが──




