7-6 レッツ!カルミアフェスティバル(3P)
(…………髪、ヨシ!
服、ヨシ!
メイクも、した!
爪、かわいい!
ヨシ! よぉし!
大丈夫、だいじょうぶ!)
うんうんこくこく、力強く頷き、ガラスの中の自分と意気投合した。
──別に、素敵な男性とデートに行くわけではない。モデルのオリビアとリックに直接挨拶ができるわけでもない。
群衆の一部になるだけ──だが、それでも。
(────わかってる。
超背景。目にも止まんない。わかる。
客の一部。わかる。
でも、推しに会うんだから、最高出力で魔力を……ちがう、”かわいい”で挑みたい!)
力強く呟いて、握りこぶしもそのまま、強気の顔を向けるは雑踏の向こう側。ショーが行われる広場・『ミリアル・ラパンガン』だ。
──このために、2週間前から早寝をした。
カルミア祭の文字を見ては、”にへぁ~”とニヤケる自分への、不機嫌で冷酷なエリックの視線にも耐え抜いた。
少々の貯蓄を切り崩し、服も髪も整えた。
出番はないだろうが、下着も新調した。
(────まってて、オリビア! リック! 今、会いにゆきますっ!)
気合も十分、ミリアはカルミア祭へと身を投じたのであった!
※
晴れやかな9月の青空の下、いつもより賑わう露店や人々。




