7-5「3勤交代シフト制」(2P)
『君のところの成人祭りは?』
(────うっ……!?)
祭りというものは、土地柄によって個性が出るものである。
感謝する対象が違えば祈り方も違う。
女神のおひざ元・ノースブルクのウエストエッジで。
夕映えの草原を行きながら、エリックから投げられた質問に、ミリアは頬を固めて言葉に詰まっていた。
(……しまった、聞き返してくるとこまで考えてなかった……!)
と胸の内で呟く彼女だが、当然と言えば当然である。
彼はもとより知識欲のある男だ。
『自国の祭りの由来』などの話をすれば、他国のことも知りたがるに決まっているし、それが『会話』というものだろう。そこまでを見通せず話を振ってしまったミリアのミスである。
(おにーさんの性格上、聞いてくるよねそうだよね……!)
と、顔を逸らして呟く彼女はもちろん、『語りたくなかった』。
エリックの性格はわかる。
彼の知識欲もわかる。
しかし『カルミア祭』という『花がモチーフの成人祭り』と比較して────
(────マジェラの祭りは無理すぎる……っ!)
戦々恐々と呟くミリアの頭に蘇る『マジェラの成人祭り』。
毎年毎年周囲の大人に引っ張られ、全く不思議に思わなかったのがおかしいとさえ思う『成人祭りの様子』を思い出し、だんまりを決め込むミリアの隣から。
ちくちくと刺さる────エリックの『興味』を宿した待機の視線。
(──うっ……!?)
刺さる。
ささる。
刺さりまくる。
エリックの指先で『球』を成す小さな火の玉さえも圧力に感じるほど、刺さりまくる視線に、たまらず、逸らしていた目だけを向けて────




