4-12「夢と現実(3)」
きゅるん♡
うるうるっ♡
…………”しゅき”っ♡
「……………………。
…………やりすぎ。
普通で良いから。
普通にしてください」
その。
『瞬き120%増量・うるるきらきらフェイス』を前に
色気も余裕な空気も全部投げ捨て
エリックは思わず苦笑いで首を振った。
少し前なら『ふざけてるのか?』と間髪入れず詰問しているところだったが、今はそんな気も起こらない。
ミリアが『こういう人間だ』とわかってきたのもそうなのだが、今はそれより。
笑っていいのか、困っていいのか。
対応に迷っているのである。
目の前の『うるうるフェイス』に、ぐっと顔に力を入れ項垂れて、
(…………ああ、もう。
────せっかく、雰囲気を作ったのに……!)
と思いつつも、込みあげる笑いを、内側で押しつぶす。
そんな自分を煽るように、脳内にチラつくのはこの先だ。
『うるうるっ』な顔を前に
至極まじめに話す自分────を想像するだけで腹筋が釣りそうになる。
────すぅ────…………っ……。
──ハッ。
エリックは、脳内をチラつくそれを振り払うかのように
『参った』と言わんばかりに短く息をつき、困った瞳を向けて口を開いた。
「……反応に困るんだけど。
その顔に話す内容じゃないよな?」
「……ちゅーもん多いなぁっ!」
「俺の相棒だろ?
君なら、表情もうまく作れると思ってるんだけど?」
「……ほおー〜〜??
ご注文はどのラインかしら?
至極真面目な接客モードなら問題ないかしら?」
「…………ああ、問題ないよ。
じゃあ、それで」
煽るような口調をまねして返すミリアに、彼は頷き、そして
語るは『今の見解』
────今後の、”動き方”。
#エルミリ




