4-12「夢と現実」(2P)
「? 着てるよ?
カタログから試着ドレスを起こす時とか。
わたし、体型がド平均だから。
あそこにあるドレス、大体入るんだ」
「…………いや、」
答えた直後、返って来たのは小さな否定。
しかしミリアの耳には届いていない。
「まあ、サイズが大きすぎるのとか〜
あと、お子様用のは流石に入らないけど。
試着のやつはだいたい着てるよ? 」
「…………」
「うちのドレスって基本オーダーだけど、とりあえずレギュラーサイズで型紙とって、それで細かく合わせていくのね? 絞れるものはフリーで作る。
で、そのレギュラーサイズを作る時に、わたしがトルソーになるの。型紙起こす勉強にもなるし、仕立てが分かると、おすすめする時も説得力が増すでしょ?
ドレスのスカートの感じをみたりとか、途中の仕上がりを確認するのに着てみたりとか、本縫いする前に確認したりする時とか、結構重要な仕事なのね?
…………動けないけど」
「…………だから、」
「?
…………だから、あのー……
割と着ている、
けれど、も……??」
「…………」
「????」
何か。
言いたげに。
しかし黙り込んでしまったエリックに、
ミリアは、ただただ不思議だと言わんばかりに目を向ける。
細やかに瞬きをしながら
じぃ────っと視線を送ってみるが────
彼は、複雑そうな顔をするのみ。
そんなエリックを前に、ミリアは表情には出さずに心で首を捻った。
(…………何が言いたいのかしら。
このおにーさん…………)
はっきりいって
『エリックが何が言いたいのか』さっぱりわからない。




