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4-11「むしてたべる」(4P)




「……そういう意味か……!

 そんな調理法があるとは……!」

 と、半身を捻る。



「ぷっ! 虫だと思ったんでしょっ」

 それに、身を乗り出しからかうように問いかけるミリア。




 心底楽しんでいる彼女に、しかし彼は一つ、目を配らせると



「ああ、思った。

 思いっきり勘違いした。


 ……君と話していると、世界の広さを感じるよ……

 ……勘違いした自分が、恥ずかしいな」

「あははははは!

 マジで恥ずかしいって顔してる!

 あっはっは!」


「……時間を戻せるのなら、戻して欲しいんだけど?」

「ふふふふ、残念ながら無理ですね〜?」




 笑うミリアに、『彼』が返すは、拳の頬杖と

 ────恥じらいの混じる『苦笑い』。


 そんな『負けながらも負けてない』と言わんばかりの彼に

 ミリアも意地悪っぽく『愉快』で顔を染め、両手で頬杖を突き、言い返した。






 二人の間

 流れる空気は『愉快』そのもの。


 


 勘違いも恥ずかしさも

 軽口も挑発も



 楽しい食事のエッセンスとなる。

 



 そんな雰囲気の中、ミリアは

 すっと息を吸い込み背を伸ばすと、未だ『参った』という色を残す彼に目を向け、ご機嫌に言うのである。




「あのね、プリンは割と簡単だよ?

 クリームと、卵と、砂糖があればできるから。

 わたしも自分で作れるぐらい、お手軽デザート♪」


「…………へえ。そうなんだ」

「うん、あとでレシピ教えてあげるよ。

 作ってみたらいい〜、美味しいよ♪」

「…………ああ」

 


 そういうミリアに、エリックは細やかに頷きながら微笑んでいた。





(────ああ、不思議だ)と。

 心の中で実感しながら。



 穏やかというか、平和というか。




 勘違いした自分も

 陽気に笑う彼女も


 『何気ない時間』の一部のような気がして、自然と表情がほころぶ。




 『自然体』というものは、こういうものなのだろうか。

 こんなにも穏やかに、笑いを交わしたことは、今まであっただろうか。




 恥をかいたはずなのに

 嫌だと感じないのは、なぜなのだろうか。





 無防備になった彼の気持ち。

 そんなエリックの口から流れ出たのは


 







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