1-6「ねえ、脱いで?」(5P)
甘えた声
緩み外れたコルセット
ぱさりと音立て そこに落ちる
彼は 理解した。
──それは
”オトナのお誘い”・”お付き合い”。
(────へえ……?)
大胆な彼女に
自身の首元に指をかけ、くすりと、もう一度。
「────フフ。
……嬉しいよ。ちょっと驚いたけど」
靴を投げられた時は、予想もしなかったが
女が『そう』言うのなら──断る理由などありはしない。
別に、いいだろう。
出会いが先ほどでも、なんでも。
国内問題がどうであれ
魅力ある自分に
女は皆 こうしてくるのだから。
──狭い店内 二人きり
ちらりと目に付く お誂え向きの客用ソファー
窓の外 行き交う人々 ガラス越し
白昼堂々 これもまた一興
「……いいよ? 相手をしてあげても。
────君のその期待には……応えないとな?」
「ん゛っ?」
「え?」
一瞬で変わった彼女の顔つきに固まる。
ばっちりその気で、ぐっと引っ張った襟ぐりもそのまま、意図を汲もうとするエリックの前で──
ミリアはふるふる首を振り、
「違う違う、ボタン取れてる。ベスト。」
「…………は?」
「ボタン。とれてる。一番上」
「………………」
「ぼたん。」
#エルミリ




