4-10「プリンは伸びない」(5P)
「でもさ、プリンがないの、もったいないよね」
「…………”ぷりん”?」
ミリアから出た、聞きなれない単語。
彼は思わず目を見開き問い返す。
(…………なんだ、それ?)
一瞬のうちに脳内で『ぷりん』を探すエリックに対し
彼女は当然のような顔つきで彼を見つめつつ、ひょいパクとさらにひとくち頬張ると
「…………ないよね、ここ。
見たことないもん。
ミルクも卵も美味しいのに。
なんでないの?」
「……いや、そもそも、”ぷりん”って、何?」
言われ、エリックはまともに聞き返した。
ミリアは当然のように言うが、彼の知識の中
『ぷりん』というものは、聞いたこともなければ見たこともない。
(…………”ぷりん”?)
エリックが、その『音』から
彼の知識を総動員して
彼なりにモノを想像する、視線の先で
「──あ。そっか、知らないんだ」
それに気づいたミリアはスプーンを皿におくと、
「えーとね、
たまごと、ミルクと、砂糖で作る、ぷるんぷるんした、甘いスイーツ? ぷるぷるトロトロでおいしいやつ」
「…………”ぷるぷる、とろとろ”……?」
「うん。かためのとこもあるけど、基本ぷるぷる」
「……?」
聞いて、さらに首をひねるエルヴィス・ディン・オリオン閣下。
(…………全くわからない。なんだそれ……?)
スプーンを握りしめ考える。
しかし、その反応は無理もない。
なぜなら、この国には




