4-10「プリンは伸びない」(3P)
(…………まさか
”協力関係”になるとは……な)
想定外といえば想定外の状況に、彼はポトフの小さなキャベツを一口。しっかりと口の中で味わいながら、ちらりとミリアを盗み見た。
「…………」
『協力者』
『目の前にいる相棒の女性』
『緩やかに流れる時間』
(…………不思議なものだ)
そう呟くエリックは『自分がそういう発想に至った』ことについては、間違いだとは思っていなかった。
不思議な状況ではあるが、今までとこれからを鑑みれば、これが最善策だと判断したからだ。
しかし。
(────思えば。
あれから、そんなに時間も経ってないはずなのに
随分と昔のことのように感じる
……変な話だ)
時間が濃縮されているような感覚を憶え
ほんの少し前の『当時』を思い返す、その傍らで
ミリアはとろりとしたスープにスプーンを沈めると、
「シルクメイルはさ〜、
ほんとミルクとかチーズとか美味しいよね。
鳥のクリーム煮なんて、こっちにきて初めて食べたもん〜♪」
ご機嫌に白くまろやかなシチューをひとくち。
そして、ミリアの口の中。
優しく広がる────鶏のうまみ。
とろーり膜張る優しいミルクの味と、鶏の脂。
程よく効いた塩胡椒に、コンソメの風味が後をひき、旨味の膜が舌全体を包み込む。
とろりと
あまく優しく
野菜も肉も包み込み、溶かすような温かさ。
そんな旨味の波に
また次の一口を求めてしまうのは────、もう、仕方のないことだろう。
「…………おいしい……!」
思わず唇を噛み締め、ぎゅうっと右手で握り拳を作るミリアの満足げな雰囲気に釣られて、エリックはスプーンを片手に話し出した。




