4-9「Mrs,ベレッタ」(1P)
「ミリー? どちらさま~?」
「……オーナー!」
奥から聞こえた声に、ミリアは勢いよく振り向いた。
視界の片隅で、エリックも並んで目を向ける。
二人一緒に見つめる先、カウンターの奥。
年季の入った扉の前。
にこやかにたたずむ、一人の女性。
綺麗な銀の髪はボブショート。
纏うドレスワンピもスマートに
耳を彩る大きなピアスが、彼女の小顔を引き立たせる。
年齢を重ねたその左手、薬指には
金のリングが鈍く、しっかりと輝き、重ねた年月を物語っていた。
かなりの細身で
『上品で楚々とした淑女』という言葉がぴったりの
”オーナー”と呼ばれたその女性は、ミリアにとって大切な人であり
唯一、”頭が上がらない”人物だ。
「……あ、えーとっ、ほら、この前話した、
…………例の、おにいさん」
慌てて、紹介するように。
中指と薬指を綺麗に揃えた手のひらを向けて
当たり障りのないようにミリアは言った。
「………………」
返ってくるのはオーナーのスカイブルーの瞳。
エリックを無言で眺め、一瞬瞳の動きが止まる。
「……?」
その視線を不思議に思ったのか
エリックは小さく口角を上げて微笑み返してみせた。
──『怪しいものではありません』と、アピールするように。
『……』
オーナーの『じっ』とした視線と
エリックのにこやかな会釈が作り出した沈黙は、ほんの一瞬。
ミリアの隣に並ぶ彼に、銀髪の彼女は小首をかしげると




