4-8「待ってたの」(7P)
「…………その、ミリア、
………………さん」
「はい?」
「……………………悪かった」
「ん? な~んで謝るのよ。
キミが謝ることじゃないでしょ〜……
オリオンさんがいきなり開くからじゃん」
(…………いや……、だから……)
ミリアが困った顔つきで述べたフォローを、複雑な気持ちで受け止めるエルヴィス・ディン・オリオン(本人)。
嗚呼。
この『申し訳ない』の気持ちを、どこに吐き出したらいいのだろう。
黙り込む自分の前で、ミリアは不思議そうに首を傾げながら困り顔で笑っているし。
まさか、『俺がスケジュールを組みました』などと言えるわけもないし。
エリックは、
溢れ出す『申し訳ない』をぐっと胸の内に溜め、ガクンと首を垂れると、立場のない顔つきで眉を下げ、
「────あ────、…………その、
『オリオン様に仕えるものとして』。
…………謝らせてくれないか。
…………すまない」
「だぁからぁ。
おにーさんが悪いわけじゃないでしょ?
そんなこの世の終わりみたいな顔しないでよ」
「…………いや……、えーと……」
「いーってばっ。
愚痴聞いてもらっただけで満足だしっ。
それより、いきなりごめんね?
びっくりさせた」
と、軽快にフォローされればされるほど
(…………気遣いが、逆に痛いな……)
吹き出しまくる罪悪感。
しかし。
そんな実情を全く知らないミリアは、
疲れた顔で『ふぅっ』っと笑うと、首を伸ばしつつ、言うのだ。




