4-7「食用になってからおいで!」(3P)
時刻は7時50分。
勤務は9時から。
ビスティまでは、ここから歩いて20分という距離にある。
────わっふ……
…………だるだる…………
「…………ぁ──────……」
かったるそうに伸びをして。
あくびで出た涙もそのまま、
ベッドサイドに置いたサンダルに足をつっかけ、立ち上がり
そして、始める『朝のルーティン』。
沸かしておいた水で顔を洗い、歯を磨いて保湿液をつける。
保湿液をぱちぱちと頬に馴染ませながら部屋を横切り
出窓に置いた植木鉢から、実ったミニトマトを2、3個むしる。
そしてそのまま、のたのたとキッチンに向かい
トマトを洗い、かごに入ったパンを”むんず!”とひと掴み。
丸いころりとしたパンを皿の上におき
右手の
中指と薬指を、ぴたりとつけて
親指で 結ぶ
──── 一点 集中
「『Bake! film wrap!」
しゅるん! ぱっ!
声に反応して、空気の球がパンを包み込み、
まるい空気の壁に赤い熱線が走り抜け
途端、中のパンがじりじりと音を立てはじめた。
…………じりじりじりじり…………!
じ──────っ……!
(…………はあああああああ~~~っ……!)
徐々にオレンジ、赤と変化していく熱の色を見ながら、”ちょうどいい焼き加減”を狙って、ぎゅぎゅっと右手の力を調節して────