4-6「パラ見でオール却下」(2P)
聞いて、二人は驚嘆の声を漏らした。
リチャードとエルヴィス、尊敬と怪訝な顔つきで円卓を囲む。
エルヴィスは
ドニスという国を訪れたことはないが
王城にずらりと並ぶ『20人もの王家の子』を想像し、辟易とした息をつく。
正直、彼の感性からしたら
『一夫多妻』
『20人もの子供』など、考えられることではなかった。
────1人を愛し、求めるのも
あってはならないと、思っているのに
それを考え、連鎖的。
エルヴィスの口からこぼれる、息と呆れのトーン。
彼は旧友たる盟友に漏らすのだ。
「……20人、ね……
よその国のことをとやかく言うわけじゃないけど、元気なものだな。……それじゃあ相続争いも凄そうだ」
「だ〜よなあ」
「継承はどうするんだろうな? 目星はついているのか?」
「わからないわ。
けれど、第一王子が継ぐのではないかしら?」
「────ん~、体力はあるのかぁ?
あそこの第一王子は、もう50を回るはずだぞ〜」
「…………王が務まるのか?
俺でも公務が続くと疲れも溜まるのに。」
「…………同感ね」
聖堂の円卓で、それぞれ意見する盟主・皇女、そして王子。
三人とも体力も気力も溢れる年齢だが、やはり『公務』が重なるとしんどいようである。
よそさまの国の『事情』に
『──はっ、』と短く息をつくキャロライン。
それにエルヴィスは表情を変えることなく目を配らせ、ため息混じりに言い募る。
「…………70を超えるまで『現役』というのも、立派と言えば立派なものだけど? 周りとしては、耄碌する前に立場を譲ってほしいところだよな」
「まーして……、子どもが20人って。
王子・王女同士、命を狙う……なんてことも、あるかもしれないよな〜? 子沢山も考えものってワケだ☆」
「……私たち、『ネム国際平和連合』としては……考えられないわね…………」
「…………だな」
「……ほんとな〜」
「…………」
…………しーん…………
そして、落ちる沈黙。
花園の中、黙り込む盟主と皇女を────
一線引きながら眺めるリチャードは
『今にも始まりそうなそれ気配』を感じとり────すっと腰を浮かせ、席を立った。
「どこへ行く? リチャード?」
「ん? あぁ、少しばかりトイレへね。
一息入れさせてくれ〜」
飄々とした、抜けるような声色で言いながら、リチャードは花園の奥へと消えていく。
そして、残された、花園の中。
年頃の『王女と盟主』は
『…………』
決して
顔を合わせず
黙りこんでいた。
二人とも、脳内に浮かぶのは────
ドニスという国の『子供の数』だ。
そして、『連鎖的』。
出てくるのは────
『自国の事情』と『自分の状況』であり、その牽制は、彼のほうから放たれた。