4-4「ちらりちらつく、”らしくない”」(3P)
「……ずいぶんと拵えが良いな……
魔術書かなにか?」
「いんや、遊戯絵札だよ」
「遊戯絵札?」
首を振られて繰り返す。
まさか、そんな返しが来るとは思わなかった。
(──まあ、確かにカードのサイズといえば、そうだけど)
言われ確かめる箱のサイズ。
確かに『カードのサイズ』だが、しかし外箱がやけに仰々しい。
「…………へえ。
てっきり、小さな本かと思った」
「な? 芸術品さながらだろ? ちょっと見てみろって」
言いながら、
リチャードは親指で箱の蓋を掬い上げ
現れたカードを一枚引き出し、エルヴィスに見せると眉をくねらせ、
「色々な模様があって、それを揃えて遊ぶんだと思うんだが……遊び方がわからなくてなぁ。」
「…………ふーん……?」
リチャード王子に釣られてカードを手にするも、彼はその顔に警戒を滲ませる。
確かめるようなエルヴィスと、無言で見つめるキャロラインを前に、リチャードは構わずカードを次々に捲ると
「ほら、みろよ。
これは、水だろ?
これは……炎?
……これは……、嵐みたいだな?
なんか、頭のマークもあるな?」
「……あら。
模様が同じものもあるのね……
トランプみたいなものかしら?」
「か~もしれないなー?」
……ぴくっ。
間延びした相槌に、エルヴィスの手が、止まり、そして────