4-3「盟主《エルヴィス・ディン・オリオン》」(6P)
「……『才ある女性』ねえ〜。
『さいのう』が外から見えたらいいんだがなあ〜、なあ? エルヴィス?」
「…………俺に同意を求めるな」
「そういう魔具とか、ないのか?」
「……あるわけないだろ」
「エルヴィス。リチャード。
貴方たち、真剣に考えているの?
貴方たちの国の『女性の労働に対する意識調査』の回答は見たの?
『家に入って当然』
『家事はおろそかにしないことが前提』
『女には針仕事ぐらいしかできない』……
はあッ……!
……50過ぎの彼らを侮辱したくはないけれど、言いたくもなるわよ。
どうしてわからないのかしら。
『もうそのような時代ではない』ということに。
────女を。
見くびらないでもらいたいのだけど?」
『…………』
彼女から向けられた棘に、男二人はそれぞれ黙り込み、そっと目を見合わせた。
彼ら三国、軍事から産業へ。
男子優遇から男女平等へ。
変わりゆく時代の中で、『これから』を生きるために。
トップが知識を出し合い、改善を促しているが
これがまた、なかなか浸透していかないのである。
去年と代わり映えのない資料を前に
公国の王子・リチャードは呆れまじりのため息をつくと、こめかみをカリカリ掻きながら口を開ける。
「……んん〜、まあ、どこの国も大まかな動きは一緒だな?」
「……そうだな。
若い貴族を中心に、少しずつ変わっては居るが」
「問題なのは50代以上ね。
……頭の硬さは、どうにかならないのかしら」
資料を睨みながら、赤い瞳をキリッと尖らせるキャロラインを横目に
エルヴィスは、深く
息と、言葉を吐きこぼすと