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4-2「今日は副業モデルのリックとして頑張ります」(4P)
「今だから言いますけれど、もう少し柔らかな人だと思っていましたわ? オリビア、こんなに『普通』扱いされたのは初めてでしたのよ?」
「……君の母上から言い含められていたからな。
『娘は同等に扱ってください』──
君の母上は、我が街の広告塔だ。
加えて、君はビジネスパートナーだ。
仕事としてきているのだから、当たり前だろう?」
「────まあ。
それが今となっては楽でいいのですけれど。
モデルとして少し悔しさは残りますわね」
「…………ああ、わかるな」
「──『わかる』?」
撮影所の中。
互いにため息混じりの会話に、一つ。
エルヴィスは、無意識のうちに呟きこぼす。
彼女、ココ・オリビアは美しい。
被写体として、アイマスクで隠しているのが『正解』だと思うほど。
凛とした吊り目、金の髪。
ココ・ジュリアの生写しと言われている彼女は、外でも相当モテるだろう。
そんな彼女の『悔しさが残る』という言葉に、
エリックは、今、
気持ちを乗せていた。
(────自分の自信がある部分が効かないと)
「…………つい意地になるというか」
「なんですか?」