表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

148/592

4-1「 事件かもしれません」(3P)







 自分の過失ではない。

 過失ではないが、エリックの中、濁るような感覚が湧きだすのを抑えることはできなかった。

 


(────人の死にざまは、想像でさえ気分のいいものじゃない……)

 


 その場で起こったであろう悲劇と、彼女らの周りの人間。

 それらをぐるりと想像し、落ちゆく心に──『喝』。

 エリックは無理やり瞳を上げ切り替えると、やるせなさを怪訝に隠して口を上げた。



「────今日は朝からずっと雨が降っていたからな……外を出歩く者も少なかったんだろう」


「えぇ。

 マデリンの落下時刻が確かなのは、同じアパートメントの一階の住人が証言しているからです。『外で大きな音がしたと思って見に行ったら倒れていた』と。彼は遅めの昼を摂っていた途中だそうで、戻ってきたころにはパスタは冷えきっていました」



「…………パスタの情報はいい。

 同時に二人も、か…………頭が痛いな」

「この街で死亡事件なんて、何年ぶりでしょうねぇ……

 戦後10年はありましたが、盟主さまが変わられてから久しくなかったというのに」

「…………」



 ────そう。先代オリバーの死後、彼が引き継いでからいままで。

 こんなことは起きなかった。

 多少の事件事故はあっても、このような死亡案件は見られなかった。



(──のに、一気に二人か……)



 状況にしわが寄る。

 胃の奥の方がぐっと縮む。

 しかしそれを嘆いている場合でも、口にするわけにもいかないのだ。

 エリックは続きを促す様に、言葉を発した。



「…………”二人同時”と言うところを見れば、限りなく事件である可能性が高いとは思うが……────そのあたりの調べは?」

「……流石に、まだですね」




 その問いに、スネークが静かに首を振る。

 当たり前の受け答えにエリックも小さく息を付き、そして彼は街の地図を凝視する。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ