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3-15「フィルターを通して」(8P)
スネークという男を通して
ミリアの
『まあ、優しいほう』が『とてもやさしい』
『顔はいい方』が、『カッコ良い』
『面倒見が良い』にプラスアルファ
『話していて嫌じゃない』が
『一緒にいて楽しい』と変換されて
エリックに伝わっていく。
「……彼女は大層誉めていましたよ?
アナタのことを語るミリアさんは、本当に良〜い笑顔をされていました。
アナタのことを『面白い』と表現するひとには、初めてお会いしましたから、私もいささか興味が出たのですが……」
「…………」
「……まあ。
そうはいってもボスにとっては『情報源』ですし。
いずれ切り捨てる対象だと言うのなら……そうなのでしょうねぇ」
「…………そうは言ってない。
ただ、…………彼女は、俺の協力者だ。
余計なことはしないでくれないか?」
「余計だなんて人聞きが悪いですねえ。
私はただ……
彼女の素直な気持ちを伝えただけです」
「………………」
聞いて 過るのは『ミリアの顔』。
──── 一瞬。
様々なことを考えて、エリックは珍しくスネークの前で黙り込み────