3-15「フィルターを通して」(7P)
「…………冷たいですねぇ
ミリアさんは貴方のことをあんなふうに言っていたのに……」
「………………は?」
不機嫌で、張りのある声がアジトに響いた。
スネークの思わせぶりな言い方にもイラつくが、それ以上に。知らない情報をチラつかせられている、この状況がイラつくのだ。
「────何を聞いた」
響かせる声。
じわりじわりと広がる苛立ち。
思わせぶりの間がじれったい。
向ける瞳は、鋭利な刃。
ミリアが何を言ったか知らないが──
その内容次第では、色々と考えねばならない。
彼女は口も堅いとみているし、最低限の分別もある筈だ。それに、こちらのことを『契約者』以上には見ていないだろう。
が。
『あの後 何を話したのか』、わからない。
警戒しながら
言葉を待つエリックに、スネークは
相変わらずのすまし顔で
「いえ。
大したことはありませんよ、ただ……
『とても優しくて良い人だ』
『面倒見もいいし、好感が持てる』
『カッコ良くていい』
────それに何より
『面白くて一緒にいて楽しい』と。
そう、おっしゃっていましてね?」
「………………」
聞いて、すぐに言葉が出なかった。