3-14「愉快・不愉快・居場所ない」(7P)
『………………』
「……………………」
…………ごくっ…………
(…………アノ~──────……
スイマセェェェン……
息が詰まるんですけど……)
カウンターの内側。
艶やかな張り部分を“ぎゅうっ”と掴んで
こっそりと息をのみ、二人を見上げるのはミリアである。
ミリアは、『契約もしたし、この先会うこともあるよね?』と気を利かせて紹介したつもりだったのだが
自分を挟んで右と左。
客側通路で『バリっ!』と空気を張り詰めさせる男二人に言葉も出ない。
勤め先の店内で
今にも何かが始まりそうなこの『圧力』『雰囲気』。
ミリアからしてみれば
『何がどうしてこうなった?』である。
二人の──、
いや、主にエリックから滲み出る圧力を感じて、
ミリアは、息もほそぼそと
スネーク・エリック
スネーク・エリック と
二人を交互に、ちらちらしながら、おずお〜ずと
「………………ア、あの〜……
ねえ、えっと。
なんかお互い、
こう、なんか、
……意識でも飛ばしあってる、
の……?」
伺うように、覗き込むように声をかけるが
「────♪」
スネークはすっと目だけを横して口元を上げ
「…………」
エリックはさっと目を背けるのだ。
その反応に────
ミリアはさら戸惑い、心の声がお喋りになる。




