3-14「愉快・不愉快・居場所ない」(3P)
「おや、そうですか?
お二人の仲睦まじい腕相撲が見えたのですが」
「えっ。
…………見られちゃいました?」
「ええ、しっかりと。
まるみえ。です」
「あらヤダおはずかしい〜っ!
へへ、遊んでもらってましたっ」
「ふふっ、お茶目ですねえ」
言って一笑するスネークに、『バレました~』と言わんばかりに、ミリアは誤魔化すように笑ってみせた。
彼女は、知らない。
エリックとスネークが上下関係にあるということも。
エリックが、スネークを毛嫌いしていることも。
彼らが『知り合い』であることも。
知らぬミリアは、スネークに向かって話を続ける。
「あのですね、おねだりしたんです。
腕相撲、やってくれるひと居なくて。
そしたら、彼、付き合ってくれたんですよ~」
「ほう? そうなのですか?」
「そうそう、そうなんです!
このおにーさん、結構ノリが良いんですよ!」
「────そうですか」
「はい~♪」
にこにこ、ふふふ! と笑いながら、ミリアは『当たり障りのない回答』で場を乗り切った────つもりだった。
しかし────
その返答は、『彼』にとって
不都合な事この上ない返答だ。
────そう。
エリックにとっては。